設備の状態監視は、運転データのしきい値監視および定期的な性能評価により実施している場合が多いが、火力発電設備の運用形態の変化により、設備状態の変調が運用によるものか、設備劣化等によるものか判別することが難しくなっている。また、従来にはない変調も予見されるため、発電事業者からは異なる状態の中から「いつもの状態との違い」を検知できる状態監視・診断の手法が望まれている。 このような環境の中、 NECは 2016年に中部電力株式会社 (当時。現在は株式会社 JERA)と、火力発電へのインバリアント分析及びその派生 AI技術を含めた包括的な現場検証とその成果を国内外の事業に展開する覚書を結び、共同で検証と発電所への適用を進めている。この共同検証は JERAとなった現在でも続けられており大きな成果が出ている。 本稿では火力発電の状態可視化におけるインバリアント分析の活用とその成果について解説する。...